ゼンダンサクラ号とエリタージュソング号は12月24日らしいレース「レディス・キャンドル賞(B級牝馬)」に出走します。ゼンダンサクラは自己条件のレースですがエリタージュソングは格上挑戦。前走C級23組を勝っただけの本馬ですがB級のレースに希望出走です。自己条件でなくこちらのレースを希望した理由は
1. 自己条件の勝ち組特別は厳しそうだった
本来であれば22日の歳流特別(C14特別・1,700m)に出走するところでしたが,このレースのメンバーをご覧ください。前走勝ち馬が9頭,中央からの転入馬が1頭とレース前からびびってしまうようなメンバーです。前走千五37秒台が4頭,千四31秒台が2頭と,これまでそれぞれ1分39秒2,1分32秒1がベストのエリタージュソングにとっては時計的にもだいぶ苦しくなることが予想されました。実際勝ち時計は千七で1分51秒9と,C級下位とは思えない速い決着となりました。
2. 血統的に千七よりは千四
エリタージュソングの母父はメイショウボーラー。短距離のスピードで鳴らしたメイショウボーラーは,母父に入っても短距離で多く活躍しています。メイショウボーラーを母父に持つ馬の平均勝利距離は1,381m(中央芝),1,392m(中央ダート),1,344m(地方ダート)と,まさに1,400m近辺がペストといえるもの。本来出走するはずだった歳流特別勝ち馬の母父マンハッタンカフェの母父勝利時平均距離が1,607m(中央からの転入馬)であることからも,名古屋の千七はパワーとスタミナを要求されることがわかります。血統的にも,前走千四で2番手から抜け出したレースぶりからも,千七は少し長いと考えました。
3. そもそも南関に行く気がほとんどなかった
当クラブ所属の他の3歳名古屋馬と違い,本馬は当初より南関転入を強くは目指していませんでした。使い出しが他馬よりも少し遅く年内出走できる回数が少なかったことと,名古屋でこそ光り輝くブリックスモルタル産駒であることが大きな理由です。「勝たなければ」「2着以上でなければ」というプレッシャーがなかったため自由にレースを選択できました。
4. とはいえ…
とはいえ,一縷の望みを考えなかったわけではありません。現在エリタージュソングの賞金は74.3万円。南関転入条件クリアまで残り25.7万です。この金額が非常に悩ましい。どんなレースでも勝利すればクリアですが,自己条件C14特別の2着賞金が24.5万円,レディス・キャンドル賞の2着賞金がちょっと少なく22.8万円と,どちらにしてもちょっと足りないのです。C1特別(前走勝ち馬9頭!)なら2着賞金29.8万円ですが,どうせ自己条件で2着でも条件を達成することができないなら,少しでもより掲示板に載る可能性が高いレースを選択しようと考えました。
5. ではどちらがより与しやすいか
B級下位およびC級からの昇級でレディス・キャンドル賞に編成される可能性のある馬を事前に全馬チェックしました。出馬表をご覧いただくとわかるように,3歳重賞・準重賞経験馬や他場から転入後2走目の馬,鼻出血明けのB級勝利経験馬など強そうな馬は何頭かいますし,そもそも持ち時計的にはだいぶ不利。それでもC14特別よりは掲示板に載って賞金を獲得する可能性が高いだろうと考えました(などと偉そうに言っていますが1番人気馬は厩舎的に次の開催に回るのでないかと予想していたのは内緒…)。
以上のような理由により,レディス・キャンドル賞を選択しました。掲示板に載ったら大成功。載らなくても「圧倒的な格上挑戦なのによく頑張ったね」と誉めてあげてください。
一方のゼンダンサクラ。近走は凡走が続いていますが,今年約100万円のプラスとなっている名馬です。この100万円というプラス額,仮に数ヶ月放牧されていたら相殺されてしまう程度のもの。持病の球節をケアしながらコンスタントに出走し,タイムオーバー(5着馬から5秒)の不安などまったくない勝ち馬から1秒台の着差で回ってくるのですから本当に偉い馬です。前走も良馬場の千五を1分38秒6で回っているので,実はそんなに悪くないんですよ(エリタージュソングの良馬場ベストは1分39秒4)。
