競走馬は、税制上、固定資産の扱いになります。馬主自身の職種や給与によって、その処理の方法が変わる場合があります。
資産としての競走馬
たとえば、業務用の乗用車を購入したとします。乗用車の耐用年数は6年と定められていますので、車の価格を6年間かけて経費として減価償却する決まりになっています。300万の車であれば、1年あたり50万が経費になります。
競走馬の耐用年数は4年です。競走馬の資産価格は、「セリ等で購入した価格」+「デビューまでの育成費用」と決まっていますので、たとえば8月の1歳セールで500万で購入し、8月から翌4月まで月30万円で育成牧場に預託し、5月にデビューした場合の資産としての価格は、
500万+30万×9=770万
となります。4年間で770万を減価償却することになります。
注:減価償却の開始時期については複数の決まりがありますので、税理士等にご確認ください。
なお、サラブレッドオークション等で既走馬を購入した場合は、耐用年数が異なります。中古資産の耐用年数は
(1)法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
(2)法定耐用年数の一部を経過した資産
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数
(3)(1)(2)の計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年
と決まっておりますので、既走馬の耐用年数は2年または3年となります。
また、繁殖馬の耐用年数は6年です。競走馬が現役を終えて繁殖入りする場合、未償却の金額をその後6年かけて償却します。
所得の種類
競馬による損益は、雑所得または事業所得になります。
雑所得:会社員の場合は他の副業と合算できます。また、暗号通貨での損益なども雑所得なので合算できます。
事業所得:他の事業の収益と合算できます。
個人事業主の場合、本業の損益と合算できるので、競馬事業も事業所得になった方が有利です。競馬事業が事業所得として認定されるには以下のような条件を満たす必要があります。
(1)登録期間が6月以上の競走馬を5頭以上保有している場合
(2)過去3年間の各年において、その各年における登録期間が6月以上の競走馬を2頭以上保有し、かつ、3年のうちに、競走馬の保有にかかる所得の金額が黒字の金額である年が1年以上ある場合
(3)過去3年間の各年において、競馬賞金等の収入があり、その各年のうち、年間5回以上(2歳馬については年間3回以上)出走している競走馬(共有馬を除く)を保有する年が1年以上ある場合
(1)ですが、これは個人所有馬が5頭必要です。共有馬は、1/20所有であれば、1/20頭としかカウントされないか、カウントに含まれない可能性もあります。
(2)ですが、実際、競馬事業で黒字を出すのは簡単ではありません。
つまり、(3)が条件としては最も容易になります。1頭個人所有し、コンスタントに出走してくれたとしたら、3年間続ければ事業所得に認定されます。
注:詳細は税理士等にご確認ください。